国際相続を扱う弁護士の日常業務

国際相続にまつわる弁護士の日々の業務を紹介するブログです。

ご相談のきっかけ(資産より負債の方が大きい)

先日は、国際相続案件で一緒に仕事をさせていただく機会が多い税理士の先生からのお話を受けて、ご相談をお受けしました。

 

故人は、外国籍をお持ちでしたが、ご家族とともに日本に住んでいて、日本で会社も経営していました。

故人は、晩年、ご病気と闘いながら会社経営を続けておられましたが、闘病生活が長く続き、治療費がかさんだこともあって、資産のほとんどを治療費に使った状態でお亡くなりになりました。

故人のご家族としては、会社の状況について必ずしも明確ではない点も多く、故人の資産と負債のいずれが大きいのか、明確ではありませんでした。故人の資産よりも負債の方が大きければ、相続放棄をしたほうが良いという事になるのですが、故人の遺産を相続した方が良いのか、相続放棄をした方が良いのか、また、相続するにしても、相続放棄するにしても、どのように対応すればよいか、対応に困ってのご相談でした。

 

故人のご家族や税理士の先生のお話をお聞きしたところ、故人の資産よりも負債の方が大きい可能性が高かったため、ご相談の結果、相続放棄の手続きについて対応させていただくことになりました。

ご相談のきっかけ(海外の弁護士から)

国際相続のご相談は、海外の弁護士からも、来ることがあります。

 

故人は、外国籍をお持ちでしたが、数十年日本に住んでおり、ほとんどの遺産は国内にあり、海外にも若干の遺産がありました。

配偶者もお子さんもご兄弟もいませんでしたが、数十年、日常的に自宅を出入りしている日本人の家政婦さんがいらっしゃいました。

 

故人がお亡くなりになった際に、家政婦さんは、どう対応していいかわからず、途方に暮れていました。

それを見かねた、ご近所のご友人で英語が堪能な方が、故人の母国の弁護士に連絡を取り、相続のことを相談しました。

その弁護士から、仕事で付き合いがあった私へ、相談があったのです。

 

私が、直接家政婦さんからお話をお聞きし、相続手続のご依頼を受けることになりました。

故人は、母国で遺言を作成していたこともわかり、故人の母国の弁護士と連携しながら、相続手続のお手伝いをすることになりました。

 

ご相談のきっかけ(心配した故人の知人から)

先日は、故人の知り合いの方が、遺産の処理について心配してご相談に来られました。

 

故人は外国籍をお持ちでしたが、数十年日本に住んでおり、日本にも海外にも遺産がありました。

もっとも、故人のご親族は皆海外に住んでおり、日本の遺産のことについてわかっているご親族がいませんでした。

故人は、生前、身の回りのことから資産の管理まで、様々なことを日本の知り合いの方(ここでは「秘書」とお呼びします。)に頼んでいました。

その秘書の方は、故人の遺産について、ご親族が相続手続きを始める際に、きちんと引継ぎができるようにと、故人の死後も資産の管理をできる範囲で続けていました。

もっとも、ご親族がいつどういう形で相続手続きを始めるのかわからず、具体的にどのように引き継げばよいか、わからない状況でした。

また、秘書の方は、故人の資産の管理はご親族または専門家が行うべきだと考えており、ご親族への引継のめどが立たないまま自分が管理を続けることに不安を抱いていました。

このような状況で、故人の資産をいつまでも管理し続けることは出来ないので、早めに引き継ぐ必要があると考え、ご相談に来られました。

 

ご相談の結果、私から、故人のご親族へ連絡を取り、ご親族から相続手続きについてご依頼を受けることになりました。

ご相談のきっかけ(他の弁護士からの相談)

先日は、国際相続について相談を受けたという弁護士から、国際相続についての相談がありました。

 

故人は、日本国籍をお持ちでしたが、国外に住んでいて、遺産のうちのかなりの部分が国外にありました。

故人が作成していた遺言では、遺言執行者が指名されていましたが、その遺言執行者は、外国籍の方でした。

遺言執行者としては、

 日本における遺言執行をどのように進めればよいか

 複数の国での遺言執行について何を気を付ければよいか

 相続税はどうなるのか

など、いろいろな疑問があり、国際相続の経験を持つ弁護士に相談しながら進めたい、というご希望がありました。

 

ご相談の結果、国内の相続手続についてはその弁護士、海外の相続手続や国内と海外の相続手続の調整については私、という役割分担で、その弁護士と共同して、遺言執行をお手伝いすることになりました。

ご相談のきっかけ(親族に外国籍の方がいる)

先日は、途中まで自分で相続手続きを進めていたが、この先どう進めていけばいいかわからないという方から、ご相談がありました。

 

故人は日本国籍をお持ちで、遺産も日本国内にあるだけ、でした。

ご相談に来られたのは、相続人のうちのおひとりでした。

当初は、ご自身で、相続人を代表して、相続手続きを進めていたのですが、金融機関から求められた必要書類について、困ってしまってのご相談でした。

 

というのも、相続人のうちのおひとりが、外国籍の方と国際結婚し、その後外国籍を取得して、日本国籍ではなくなっていたのです。

そのため、金融機関から提出を求められた戸籍などについて、外国籍の場合はどのように対応すればよいかわからず、相談者様ご自身でこれ以上進められない、どうしたらよいか、というご相談でした。

 

お話をお聞きしたところ、遺産の中には不動産も含まれており、不動産の登記名義を変更するために必要な書類についても、同様の問題が生じ得ることがわかりました。

 

ご相談の結果、私が、必要書類の確認や取得などの対応をさせていただくことになりました。

 

ご相談のきっかけ(海外の遺産の処理に困って)

国際相続について、海外の遺産の処理に困ってしまって、というご相談をお受けしたことがありました。

 

故人は日本国籍をお持ちで、遺産のほとんどは日本にあったため、ご親族が、日本にあった遺産について、相続手続きを終わらせました。

 

一方で、ごくわずかですが、海外のある国にも遺産がありました。

ご親族は、一度、知り合いのつてをたどって、その国の現地弁護士に対応を相談したところ、相続手続きはできるが、期間も費用もかかるといわれ、そのまま対応を依頼してよいものかどうか、どうしていいかわからず、とりあえずそのままにしていたとのことです。

 

私がご親族からお話をお聞きしたところ、その弁護士がいう期間も費用も、必要な手続きからすれば合理的な範囲であるように思われました。

また、海外にある遺産は、費用を差し引いてもプラスになるであろう金額のものでした。

 

ご相談の結果、海外の遺産について、ご親族がこれ以上対応するというのは負担が重いとのことでしたので、私が現地弁護士と改めて連絡をとり、海外の遺産について、現地弁護士とやり取りしながら、相続手続きを進めることになりました。

 

国際相続とは

「国際相続」というとき、

 

  国内だけで完結しない相続

  海外とやりとりする必要があるような相続

 

という意味であることが多いです。

 

具体的には、以下のような例があります。

  1. 故人が外国籍、または、外国在住だった
  2. 遺産を受け取る方のなかに、外国籍、または、外国在住の方がいる
  3. 遺産が海外にある
  4. 遺産を海外に移す必要がある
  5. 相続手続において、海外の事情を確認する必要がある、または、海外の書類が必要になる
  6. 外国語の書面が出てきた、または、外国語の書面が届いた

 

これらの場合には、日本国内だけでは相続手続を終わらせることができません。

外国の法令や、外国での相続についての知識・経験が必要になります。また、外国の専門家のサポートを受ける必要があるかもしれません。

そのため、国際相続においては、専門家のサポートなしでは対応が難しくなります。

 

国際相続に関係することになった方は、そもそもどのように対処すればよいかわからない、何をどこに聞けばよいかもわからない、ということも多いと思います。

 

国際相続のご相談をお受けするときは、わかっていることとわかっていないことを整理し、相続手続き終了までの全体像を一緒に検討することで、安心していただけることが多いです。